病院の広場
医学の分化から総合へ
美原 博
pp.17
発行日 1970年10月1日
Published Date 1970/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204111
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脳血管障害専門の病院を設立したのは昭和39年である.いろいろの困難や反対をおしきって,ここまで成長してきた.その跡をふり返ってみると,うたた感慨に堪えない.
日本は世界一の脳卒中国である.にもかかわらず,当時,専門の施設がなかった,ただ卒中後遺症に対してだけは,ようやくリハビリテーションの重要性が叫ばれてき,そこ,ここの温泉地に理学療法を主とした後遺症治療の施設は続々とできはじめていた.しかし急性期の患者は,従来からの絶対安静という既成観念がぬぐいきれないでいたため,施設のある病院へ移送されるケースも少なく,いわば野放しの状態にあったわけである.したがって大学病院などで急性期の患者を取り扱う機会はきわめて少ない.大学で得られがたいデータを観察研究するには,急性期の本疾患群の研究が最も適当であろうと考えた.
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