巻頭言
綜合と分化
吉利 和
1
1東京大学
pp.695
発行日 1959年8月15日
Published Date 1959/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200798
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かつて綜合大学と単科大学という言葉があつた。綜合大学というのは,異なる専門学科二種以上から構成されているものをいつたようである。一体この場合の綜合とは何であろうか? それは単に,いくつかの学科が同じ名称のもとにまとめられていたにすぎないのではなかろうか。
今日ではこのような名称はなくなつたが,内容は同じである。同じ大学の中に,いろいろの学科なり学部なりが存在すれば,お互いの連絡がうまく行つて,研究上にも多くの利便が与えられると考えがちである。はたしてそうであろうか? たとえば,医学領域におけるエレクトロニックスの応用ということは,今日電気工学とくに電子工学の専門家の援助なしには考えられない。このことは,まことによろこばしいことであつて,両分野にとつて,進展の一つの促進因子になることはたしかである。これを綜合というべきであろうか?
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