治療のポイント
Blind-Loop Syndrome
岡部 治弥
1
1九大・勝木内科
pp.526-528
発行日 1967年4月10日
Published Date 1967/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201735
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小腸疾患が栄養障害と貧血とくに大赤血球性貧血を起こしうることが知られたのはすでに古く,ほぼ80年近く前であるが,その後,小腸に局在性のうつ滞をきたす疾患はすべて体重減少,下痢,悪性貧血に酷似した大赤血球性貧血,および各種ビタミン欠乏症を特徴とする一症候群の発生をきたしうることが判明し,しだいにこの状態はBlind-Loop Syndromeとよばれるようになつた。現在この症候群の原因はうつ滞部における細菌叢の異常増殖であることが認められているが,この異常うつ滞部を解剖学的正常位にもどすか,抗生物質による腸管の無菌化は人体においても実験動物においても貧血を好転せしめ症状を緩解させ,その他の治療は原則として,必要ないことがわかつている。本症における貧血はビタミンB12または葉酸ないし両者の不足によるものであり,ビタミンB12不足の原因は小腸に増殖した異常細菌叢におけるビタミンB12のとりあいおよび脂肪便に伴う吸収不良と考えられている。この貧血のほか,腹部症状,下痢,脂肪便および体重減少が本症候群の主症状である。貧血は当然悪性貧血に酷似するわけであるがその程度はかるく,またしばしば腸管出血を伴う場合は鉄欠乏をきたし,したがつてdimorphicな血液像を呈してくる。すなわちあるものは小さく低色素性,あるものは大きく高色素性と二様性を示す。
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