Japanese
English
展望
Blind Loop Syndrome—腸管外科とmalabsorption syndrome
Blind loop syndrome:A malabsorption syndrome following the intestinal surgery
渋沢 喜守雄
Kishuo SHIBUSAWA
pp.165-173
発行日 1962年3月20日
Published Date 1962/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202864
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はしがき
Blind loopあるいはcul-de-sacという術語はわが国でもすでに久しく使われている.Blind loop syndromeというときのblind loopは,しかし,いくぶん語調内容が特異で,blind loopという表現は適切でないようだ.空置された部分の腸管がself-fillingであつても,self-emptyingではなく,したがつて拡張充満し,その結果として一種のmalabsorptionを呈する状態をいうのである.胃切除後ではpostgastrectomy syndromeが内外ともに注目されているが,小腸手術後のblind loop syndromeは案外に注意を惹いていないようである.
Blind loop syndromeは小腸手術に限るわけでなく,前号に述べられた小腸憩室症においても,また後に述べられる胃手術後の十二指腸脚においても発生しうる.これらを除き,小腸手術にもとづくblind loop syndromeは文献に100例ほどが報告されているにすぎない.しかし,小腸手術後のblind loop syndromeはもつと遙かに多いのではあるまいか.腸手術後の腹痛・腹部膨満・体重減少・貧血などの患者では,癒着・慢性狭窄などのみでなく,malabsorptionを十分慎重に考慮し精査しなければなるまい.
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.