今月の主題 下痢と腸疾患
腸疾患と下痢
blind loop syndrome
池永 達雄
1
,
沢田 寿仁
1
Tatsuo Ikenaga
1
,
Toshihito Sawada
1
1虎の門病院・消化器外科
pp.1396-1398
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219171
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blind loop syndrome(以下BLSと略)(盲嚢または盲管症候群)とは,stagnant loop syndromeまたはcontaminated small bowel syndromeともいわれるように,消化管(とくに小腸)の一部に内容がうっ滞し,細菌の異常増殖をきたしたため種々な病状を呈する病態の総称で,二次性吸収不良症候群の一病態を形成している1).
本邦で遭遇するBLSは,以前より消化管の吻合手術後の病態により発生したものが多く,口側小腸が肛門側小腸または大腸と側々短絡吻合され,その間の全腸管が空置されているいわゆる盲環型に起きることが多い2)(表1,図1).また盲環型以外に,腸切除後に両側断端が通常行われる端々吻合でなくて,側々に吻合された場合の盲嚢,とくに口側盲嚢self filling blind pouchや,Billroth II法で吻合された胃空腸吻合の輸入脚などのほかに,最近では手術操作と関係ない腸結核,クローン病または放射線照射による小腸狭窄や小腸憩室症により,さらに特発性腸偽閉塞症,強皮症,交感神経節遮断剤の長期使用,糖尿病性neuropathyなどに際しての腸管運動の障害によって起きた腸内容うっ滞による吸収不良症候群つまりBLSも報告されている3).
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