器械の使い方
心電図の撮りかた—誘導部位の選びかた
長尾 透
1
1社会保険中央病院・循環器科
pp.529-531
発行日 1967年4月10日
Published Date 1967/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201737
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附加誘導をとる理由
胸部単極誘導の心電図波形を図1によつて見ていただくとわかるように,それぞれの波形の相互間には移行の連続性がみられ,隣同志の図形の間に,とび離れた相違はみられない。たとえば,胸の前面と背面との間,V2とV3R,あるいはV1とV8との図形はまつたくべつな波形を示しているが,その途中の図形を追うと,波形は連続的に移行していることがわかるであろう。さらにこれは右手,左手,左足のGoldberger誘導と胸部誘導との間にも連続性が認められ,たとえば,V1とaVRの間にも波形の連続性がみられる。このことは体表面における電位分布がなだらかな連続曲線を描いているからである。そして心電図異常の場合,この連続性が失われると,多くの場合,ルーチンの胸部6誘導だけで,この異常をカバーできるのであるが,ときによると,不連続性が6誘導でカバーできなくなる場合があり,このとき附加誘導の必要性が出てくるのである。
一般的にいえば,現在のルーチン12誘導は国際的の約束で,解剖学的,異常所見の出現頻度という点よりすれば,日常のものはこれで多くの場合たりる。これ以外はどこに電極をおいて記録してもよいわけであるが,ふつう,胸部の6誘導を基準として,附加誘導の場所が選ばれる。
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