症例 心音図の読みかた(1)
機能性雑音と僧帽弁膜症の三つの症例
楠川 禮造
1
1天理病院・内科
pp.1481-1485
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201522
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心音図を読む前の準備
心音図を実際に読むにあたつてその前に,つぎの二つのことをぜひ準備しておきたい。
第1はその患者について病歴,現症,簡単な検査成績たとえば血圧,胸部X線写真,心電図などを知つておく必要がある。とくに心音は慎重に残すところなく聴診し,聴診所見によつてあらかじめ診断を樹立しておき,後で心音図を見るようにするのが望ましい。聴覚は時間的分析の点では心音図に劣るが,音調,すなわち周波数分析については心音図のはるかにおよばないすぐれた分析力をもつているからである。他の身体的所見および臨床検査成績は心音図による診断の決定に役だつばかりでなく,その疾患の程度を決定するうえにも重要である。
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