治療のポイント
アグラヌロチトーゼ
滝川 清治
1
1名大内科
pp.517-518
発行日 1966年4月10日
Published Date 1966/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201262
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アグラヌロチトーゼとは何か
アグラヌロチトーゼは,現在では,薬剤過敏性によつて起こる特徴的顆粒球減少症と解されている。しかし,薬剤との関係が明らかでない症例も存在する。また,薬剤によつて顆粒球が減少する場合にも二つあつて,薬剤が血液毒としてはたらく場合は投与量の増加や連用に従つて顆粒球減少が比例して多くなり,いちじるしくなる。この代表的なものは抗癌剤であつて,一般に顆粒球減少と抗癌作用とが平行するものが現在では多い。このような場合にはアグラヌロチトーゼとはいわれない。他の場合は自己免疫現象によつて起こるものであり,薬剤投与中に突然脱力感,発熱,口内炎を伴つて顆粒球が激減する。そして薬剤使用量と発症との平行関係は見られない。このようなものについてここで述べるわけである。
ここでもう一つことわつておかねばならないのは,自家免疫性といつても顆粒球のisoantibodyによつて起こる減少は症状が異なつているので,アグラヌロチトーゼとはいわれていないことである。最近,白血球の血液型はABO型とは異なり,MAC(Dausset,1958),4(van Rood,1963),さらにB1およびC1(Shulman,1961)というような型(特異抗原)があるといわれるようになつた。
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