技術解説
白血球機能検査法貪食能の定量的測定およびNBT試験簡便法
山縣 香
1
,
滝川 清治
1
,
高田 勝利
1
,
坂井 正治
2
1名市大第2内科
2名市大中検
pp.587-594
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909389
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好中球は走化,貪食,殺菌および消化作用を通して,細菌をはじめとする異物を処理することにより,生体防御機構に重要な役割を果たしている.貪食能は良好であるが,ある種の細菌に対する殺菌能の著明な低下を示す小児の慢性肉芽腫性疾患(chronic granulomatous disease of ch-ildhood;CGD)や,好中球の遊走および走化作用のな欠除しているlazy leukocyte syndromeなどの疾患に示されるように,好中球のこれらの機能は密接に関連してはいるが,それぞれ異なった代謝機構により営まれていることが明らかにされてきた.したがって,好中球の機能を評価する場合には好中球の諸機能の多面的観察が必要である.
また,好中球機能の先天的に欠除した疾患以外にも,細菌感染症,慢性骨髄性白血病,全身性エリテマトーデス,リウマチ性関節炎,肝硬変症,糖尿病などにおいても,好中球自体の機能異常が報告されており,これらの疾患において,感染症の合併率の高い原因の一つと考えられており,また好中球の機能異常がこれらの疾患の病像に関与し,修飾していると考えられている1).したがって,好中球機能の検索は一般臨床的にも車要な意義を有する.
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