話題
医原性疾患をめぐつて—第6回日本精神身体医学会シンポジウムから
池見 酉次郎
1
1九大心療内科
pp.1037
発行日 1965年7月10日
Published Date 1965/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200910
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近頃,用いられている医原性疾患という言葉の内容は,人によつてかなり異なつており,一般には医師が原因的な役割を演ずるというよりも,医療とくに投薬に伴う副作用といつた意味に解せられている場合が多いようである。しかし,今回のシンポジウムにおいては,心身医学の立場からHurstが最初に用いた本症の定義に則り,「医師と患者との心理的な交互作用によつておこるもので,医師の心身医学や患者心理の理解が深まることによつて,十分さけうる状態」に限定して論ずることにした。
東大分院の石川講師,名大内科の祖父江講師,鹿大内科の金久教授,菅助教授は,それぞれ,内科の立場から,本症の発生や経過に関与するものとしては,医者の側の諸条件のみでなく,患者の側の諸条件や医者・患者の心理的な結びつきのいかんが,重要な意味をもつものであることを,自験例について述べられた。
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