床臨検査の盲点
色素法では尿中Bence-Jonesタンパク体を検出しにくい
丹羽 正治
1
1国立東二病院医化学科
pp.935
発行日 1965年6月10日
Published Date 1965/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200881
- 有料閲覧
- 文献概要
色素法の普及
尿タンパクの定性検査には従来のスルホサリチル酸や煮沸などの沈澱法に代つて最近は色素法が普及している。この方法の原理はタンパク誤差と言われ,一定のpHに維持されているある種の指示薬にタンパクが作用するとある程度はその濃度に応じて色調が多くはアルカリ側に移動することに基づいている。この新しい方法では試薬類を浸ませた試験紙を単に尿に浸すだけでよく,加熱も器具も不要で操作は全く簡便である。そのうえ濁つた尿でも前処置なしにそのまま検査でき,またtolbutamideやX線造影物質などでも,スルホの場合のように疑陽性反応を呈しないことなどの理由で,将来はますます普及する可能性がある。
ただ最近になつて,この方法では尿中のBence Jonesタンパク(BJP)に対する感度が不良であることが認められている。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.