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夢をもつた研究目標を—元阪大総長成人病センター 今村荒男氏に聞く
長谷川 泉
pp.722-723
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200830
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研究体制を確立したい
長谷川 勲一等瑞宝章の栄に浴されておめでとう存じます。多年,医学・教育界に尽瘁されましたことへの叙勲でたいそう意義のあることと存じます。さつそくですが,現在の医学研究の体制について,どうお考えですか。
今村 第16回日本医学会総会がすんでから感想みたいなことを書いたことがあるが,日本の医学研究に対して政府や一般の人が応援して研究費も潤沢にし生活も保障して,有能な医学者がある研究目標を相当長くゆつくり研究できるようになることを希望しますね。3年ぐらいの短期間しか研究費が出ないようではりつぱな研究はむつかしく,それをおし進めるには非常に大きな壁があるわけです。その壁を突き破るためには,相当時間をかけ,執拗にやらなければならないが,それには研究題目や方法の選びかたも必要だが,研究者が研究に没頭できるようにすることがたいせつです。研究報告はたくさんあつても,大阪の言葉でいえば,どえらい研究があまりないんで,画期的な研究を進めるには現在の体制では不満です。1人の医学者がいろんなテーマをあれこれたくさんやつて右往左往しているし,新しい方法が出るとそれを利用することだけを考えて,どつしりした研究が出ない。これは,研究者に与えられている条件がよくないからだと思うんです。
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