メディチーナジャーナル 健康管理
日本人労働者の血液生理値
山本 武彦
1
1順大公衆衛生
pp.617
発行日 1965年4月10日
Published Date 1965/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200802
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健康管理の基本的姿勢は,健康の側面からみることにある,ということについてはこの欄で述べた1)。健康管理活動の実際面において評価の基礎となるものの中で,血液諸像はとくに意義が大きいものの一つである。そのための顕著な業績の一つとして,"日本人労働者の血液生理値"2)の大成が挙げられる。さきに1962年(昭37)3月,"日本人の正常血液像"3)が小宮らの努力で脚光を浴びたが,ちようど同じ頃,企業の労働者の健康管理の分野で,とくに法の定める特殊業務に従事する人を対称とする健診法の中心である血液検査に,「ふるいわけ検査」が用いられた。その場合血液諸像の正常,異常域の限界を定めたいという強い要望があり,小宮らの大著の中でも,きわめて少ない工場労働者について,その実態を調査し実用に供し得るデーターを提供したいという学会の意向があつた。
ここで正常値といわず,生理値(physical values)といつているのは,この委員会の人たちが生理値という方が,より生物学的意味合いが強いと考えたからであり,正常値といつてもかまわないというように汲みとれる。
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