ルポタージュ
関西医療界のユニークな存在—淀川キリスト教病院を訪ねて
張 知夫
1
1阪大・公衆衛生
pp.566-568
発行日 1965年4月10日
Published Date 1965/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200790
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いい病院とは?
いったい"いい病院"とはなんだろう? 医師を中心とする医療チームが優秀であることや,設備のいいことが,まず不可欠の要件としてあげられる。しかし,さらに一歩つつこんで,では優秀な医師とはなにか,と考えてみると,その定義はすこぶるアイマイなものであることに気がつく。学識,技術,判断力,人格,統率力,経営の才……どれに重点をおくかによって,さまざまの"優秀な医師"があり得る。設備にしてもおなじことだ。一流ホテルなみの病院や給食を"いい設備"というのか,それとも,そんなものはどうでもよくて,医療器機や手術室の完備をさしていうのか?
定義のさだかでない要素をいくつかあつめて,それでもつて病院の優劣を判定しなければならないとすれば,これは元来ムリな注文なのかも知れない。そのうえ最近では,医療を行なう側と医療を受ける側とで,判断の基準が逆になることすらある。「キミのところはいいようだナ」とA院長がB院長にいうとき,それはB病院の経営がうまくいつているということだ。それは極端にいえば,B病院はガメツくやつてるということで,患者の立場からすればボラれているということになりかねない。
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