連載 医療職のための宗教講座・第5回
「キリスト教」を旅して
福島 旭
1,2,3
Akira Fukushima
1,2,3
1日本基督教団
2関西学院中学部
3関西学院大学
pp.1388-1393
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202772
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はじめに
とても熱心な仏教徒の両親に薫陶を受けて育った私ですが,中学生のときに偶然,海外からの短波ラジオ放送を聴いたことがきっかけでキリスト教に出会いました.それまで未知だった用語,文化,生活様式,慣習等との出会いは何もかもが新鮮でした.海外の映画のシーン,絵画の構図,音楽のタイトルや歌詞等が,パズルを解くように理解でき,ときめきが開花した記憶があります.きっと反抗期に差しかかった当時の私の好奇心とうまく適合したのでしょう.気づけば,それから半世紀近く,どっぷりとキリスト教の世界に身を置くことになりました.でも不思議にも,この世界が異次元だという感覚を抱くこともなく,違和感をもったこともなく,これまで歩むことを許されてきました.だからこそ,キリスト教に限らず,宗教とはごく普段の日常生活の一部であると同時に,人生を時折おもしろくする呼び水のようなものであると感じています.
キリスト教は人生を豊かにする教養のひとつだ,といわれることがあります.私にとってのキリスト教は,いつの間にか,教養や知識というだけでなく,生活となり,道となり,旅となっていました.そのような私自身が今,ドキドキハラハラしながら感じているキリスト教について,思いつくままに記してみたいと思います.
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