治療のポイント
肥満の生活指導
松木 駿
1
,
竹内 由美子
1
1慶大内科
pp.538-539
発行日 1965年4月10日
Published Date 1965/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200779
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肥満の害の認識
肥満者が生命保険の統計上短命であること,糖尿病,高血圧,心臓病などにかかりやすく,またかかつた場合に肥満の問題を考慮しないと,治療がなかなかやつかいであることなど,最近は一般へのPRもきいて,これを知らない人はほとんどない。しかしこれがいざ自分のこととなると,自分だけはこの問題から除外されているように錯覚しており,認識不足をいなめない。
それはなぜであるかと考えてみると,食欲のcontrolの難かしさ,肥満者自身が感じているsense of well-being(健康感と訳すのがよいと思うが,実はこの場合は誤まつた健康感である),かつぷくがよいとか,かんろくがあるという一種の肥満肯定の考えなどであろう。これに対し肥満抑制に強力に働らくのは美容上の要求である。女性の肥満が50歳未満に比較的少なく50歳を越えると急に増加する事実も美容上の抑制がとれることが大いに関係あろう。日本では男女を比べると肥満は明らかに男性に多いのに,私どもの肥満症外来を訪れる患者は大部分が若い女性である事実からも,美容上の要求がいかに強いかが判る。
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