器械の使い方
聴診器の選び方と使い方
日野原 重明
1
1聖ルカ国際病院内科
pp.614-615
発行日 1964年7月10日
Published Date 1964/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200384
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新しい医学の時代に古い聴診器
フランスのLaennecが聴診器をはじめて考案したのは1816年である。彼は肥つた妙齢の婦人の心音を,それまでの医者が皆そうしたように,患者の胸に自分の耳を直接あてて聴こうとしたが,うまく行かないので,戸外で電柱遊びをしている子供のしぐさにヒントを得て,カルテを丸めて筒をつくり,婦人の胸におしあてて聴診したのが,聴診器のはじまりと伝えられている。
それから150年近く経つた今日,聴診器はどれ程進歩したであろうか。臨床医にとつて,特に内科医や小児科医にとつては,聴診器は欠くことのできない大切な道具である。ところが日本の医師は,診断法や検査法の改良をとり入れたり,新案を使うことに遅れをとらないように努力しながらも聴診器だけは,依然古典的なものを使つて満足している現状である。
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