病理との付き合い方 明日から使える病理の基本【実践編】 3
呼吸器
清水 健
1
,
河村 憲一
1
,
是松 元子
1
1埼玉社会保険病院病理部
pp.698-702
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100610
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呼吸器(気道)は上部と下部に分かれ鼻腔から肺までが含まれるが,特に重要なのは肺である.悪性腫瘍による死亡順位で,肺癌は男性では第1位,女性でも大腸癌,胃癌についで第3位であり,死亡数は年々増加している.本稿は肺を対象臓器とし,肺癌検査に焦点を当てた病理検査について話を進める.
病理検査の意義
原発性肺癌には扁平上皮癌,腺癌,小細胞癌,大細胞癌という代表的な4疾患をはじめとしていろいろな組織型があり,それぞれ特有な臨床病理学的特徴を示す.また転移性腎癌がしばしば気管支内発育を示すように,いかにも原発性肺癌のような発育進展形式を示す転移性腫瘍もある.近年,画像診断技術が著しく進歩し,身体の内部の臓器における変化も詳しく描出できるようになったが,治療方針決定のための確定診断に,病変から得られた細胞・組織による直接的な診断が欠かせない点は,他臓器の場合と同様である.例えば小細胞癌という病理診断が確定すれば,手術ではなく化学療法が第一に選択される.肺は深部臓器であり手術も侵襲度の高いものなので病理検査による術前の確定診断は重大な意味を持つ.
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