REVIEW & PREVIEW
Acute Kidney Injuryとは何か?―病態と治療
瀧 康洋
1
,
河原崎 宏雄
1
1稲城市立病院内科
pp.960-963
発行日 2014年5月10日
Published Date 2014/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107564
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最近の動向
AKI定義の歴史
以前より,短期間で腎機能障害が進行する病態は急性腎不全(acute renal failure:ARF)として知られていた.腎臓内科はもちろん,ICU領域,循環器領域,外科領域で急性の腎機能障害は問題となることが多いが,報告によってARFの定義は施設間で異なるため,予後や病態などの比較が困難で解釈が難しかった.しかし,急速に進行する腎機能障害は現在の検査で認識されるより早期に〔わずかに血清クレアチニン(Cr)値が上昇する時期,またはそれ以前より〕存在し,腎予後だけではなく,生命予後に関わっていることがわかってきた.
これを踏まえ,早期の評価と診断,治療介入することの重要性が認識されるようになり,2004年にThe Acute Dialysis Quality Initiative(ADQI)より,初めて急性腎障害(acute kidney injury:AKI)が定義され,RIFLE分類が作成された.この後にAcute Kidney Injury Network(AKIN)分類が示され,2012年に国際的腎臓病ガイドライン機構(Kidney Disease Improving Global Outcomes:KDIGO)の最新の診療ガイドラインが発表された1).これはRIFLE分類とAKIN分類を合わせた形の分類となっており,より広くAKIを拾い上げることを目的としている.残念ながら,治療などに関してはまだまだ知見が欲されるが,AKIはこの一定した概念ができて飛躍的に研究が進んでおり,これからもさらなる発展が期待される分野である.
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