書評
セイントとフランシスの内科診療ガイド 第2版
武田 裕子
1
1琉球大学医学部附属病院地域医療部
pp.1812
発行日 2005年10月10日
Published Date 2005/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107523
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本書を手に取りページをめくって驚いた.自分が米国で研修医生活を送っていた頃,回診途中の廊下で先輩レジデントから教わりつつ手帳に書きとめた鑑別診断や治療法,カンファレンスで指導医から教えられた検査結果の解釈,忘れないための語呂合わせがそのまま目に飛び込んできたからである.今教わったら次の患者からすぐに活かせる診断・治療のポイント,逆にいうと知らなかったらアウトの臨床のコツが,すべてのページにギッシリと詰め込まれている.正統派の分厚い教科書には書かれていなくて,ベッドサイドでしか学べないような実践的な知識を,惜しみなく分け与えてくれる1冊である.この翻訳書の初版は2000年に出版されているが,本書は,大幅に内容が追加された2004年出版の原書第2版の翻訳となっている.どんなに優れた教科書でも英語で書かれていると学生・研修医には勧めにくいが,今回の間髪を入れない第2版の翻訳出版は学生・研修医を指導する立場の者にも非常にありがたく,超特急で仕事を進めてくださった訳者の先生方にお礼を申し上げたい.
本書は,12のPartsと付録からなっている.PartⅠは「疾患への一般的アプローチ」である.第1章「鑑別診断へのアプローチ」は,わずか3頁の記載で学生・研修医がもっとも苦手とする鑑別診断の立て方をコーチしてくれる.第2版で新たに追加された第3章「緩和ケアと疼痛管理」・第4章「院内合併症予防」は,診療科ローテーションのはざまに落っこちそうな領域を簡潔かつ具体的に教えている.特に第4章は,病院内の安全管理の指針として指導医にも必見の内容である.
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