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特集 研究室で役に立つ新しい試薬
膜関連試薬
カルシウムチャネル関連試薬
l-シス-ジルチアゼム
l-cis-diltiazem
長尾 拓
1
Taku Nagao
1
1東京大学薬学部毒性薬理学教室
pp.419
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905335
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■薬理作用および構造
代表的なカルシウム拮抗薬の一つであるdiltiazemは1,5-ベンゾチアゼピン骨格に二つの不斉炭素原子を持ち,cis,trans異性体および,それぞれの光学活性体が存在する。薬理活性,とくに冠血管拡張作用は,cis体で強いことが明らかにされ,trans体にはほとんど作用が認められなかった1)。diltiazemはd-cis体であり,カルシウム拮抗作用も早くからd-cis体に強いことが知られていた2)。カルシウム拮抗薬として,立体構造が重要なことが知られた最初の例である。diltiazem(d-cis)の立体異性体であるl-cis体の分子量は451であり,その構造式を図1に示した。l-cis-diltiazemは,血管拡張作用の他,平滑筋に対する作用もd-cis体よりかなり弱かったが,中枢作用はl-cis体にあり,d-cis体には見るべきものがない。局所麻酔作用は,l-cis体とd-cis体で差がなかった3)。
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