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出血後Hbが下がるまでの時間
山田 春木
1
1社会保険中央病院
pp.443
発行日 2003年11月30日
Published Date 2003/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107433
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医師になって初めて看取った患者さんが私に教えてくれたのは,出血して1,2日経った後でさえもヘモグロビン値(Hb)が下がらない場合があることです.
患者Hさんは,T大医学部絵画クラブの顧問をされていたご年配の画家で,学生たちやクラブOBからの人望厚く,連日医学部のエラい先生までがお見舞いに来ました.原病の血液悪性腫瘍に対する治療は一進一退で,吐・下血を繰り返すようになったあるとき,
「(こんなにひどく下血して)輸血をしなくてよいの?」
と私に尋ねたのは第3内科血液グループのM先生.夫は血液・免疫学M教授で,媒酌人をされたHさんの様子を毎日のように第1内科病棟に見に来られていたのです.
「しかし先生,今朝のHbはまだ下がっていません.輸血の予定はありません」
と答えた私が患者急変の知らせで呼ばれ,生まれて初めて“ご臨終”の声を居並ぶ先輩ドクターの前で絞り出したのは,それから半日も経たないときでした.病理解剖では腸管内に大量の出血を認め,直接死因は出血性ショックと診断されました.
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