特集 消化器薬―新時代の治療指針
日常診療のこつ
消化器症状に対する向精神薬の使い分け
冨田 真幸
1
1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
pp.128-131
発行日 2014年1月10日
Published Date 2014/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107287
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消化器疾患の治療で向精神薬が用いられる場面は,主に過敏性腸症候群,機能性ディスペプシアなどの機能性疾患に対してであろう.しかし,それぞれの疾患単位ごとに有効な向精神薬が定まっているわけではなく,乏しいエビデンスを並べたところで,実臨床にいくらも役立つとは思われない.上記の二疾患は本特集でそれぞれ扱われているので,そちらを参照してほしい.
一般に,心理的要因により発症あるいは増悪する身体症状を指して内科医(あるいは精神科以外のすべての身体科医)は「心身症」と呼び,精神科医は「身体表現性障害」と呼ぶ.純粋な身体疾患から純粋な精神疾患まで(そういうものがあるとすれば)幅広く連続性をもつ,この表裏一体の病態に対して向精神薬をどのように用いるのか,そしてその場合のいくつかの重要な注意点について,本稿では概説する.
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