連載 皮膚科×アレルギー膠原病科合同カンファレンス・21
6年ぶりの脳梗塞
岡田 正人
1
,
衛藤 光
2
1聖路加国際病院アレルギー膠原病科(SLE,関節リウマチ,小児リウマチ)
2聖路加国際病院皮膚科
pp.2281-2285
発行日 2013年12月10日
Published Date 2013/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107247
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後期研修医(アレルギー膠原病科) 今回は6年前に脳梗塞にて他院で入院中に抗核抗体1,280倍,抗ds-DNA 38IU/mL,リンパ球低下から,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され当科紹介となった45歳女性です.退院時にはアスピリンが処方されており,初診時に下腿にlivedo(皮斑)がありました.若年性脳梗塞であり抗リン脂質抗体症候群(APS)も疑われましたが,抗リン脂質抗体は検出されませんでした.血栓を疑わせるような皮膚所見がないかも含めて皮膚科にコンサルトさせていただきました.ちなみにMPO-ANCAも陽性でしたが,腎障害や血管炎を示唆する所見はありませんでした.
後期研修医(皮膚科) 初診時の臨床像(図1)ですが,頬部の紅斑と下肢の網状皮斑(livedo reticularis)を認めます.頬部の紅斑は境界不明で色調は淡いですが,鼻根部を中心に左右の頬部に分布しておりSLEに特徴的な蝶形紅斑を考えました.下肢の紅斑は外踝から外側縁にかけて分布しており,網の目が閉じた網状皮斑が主体でした.臨床像から末梢循環障害が示唆されましたが,血栓や血管障害など器質的変化が背景にある可能性も否定はできません.抗リン脂質抗体はループスアンチコアグラント,抗β 2 glycoprotein Ⅰ(GPI)依存性カルジオリピン抗体,抗カルジオリピン抗体すべて陰性だったのでしょうか.
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