連載 リレーエッセイ 医療の現場から
歯科への「無茶ぶり」の可能性
猪原 健
1
1猪原歯科・リハビリテーション科
pp.989
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200062
- 有料閲覧
- 文献概要
「病院歯科」という言葉をご存知でしょうか? 歯科診療所ではなく「病院の中にある歯科」という意味で,歯科関係者が一般的に使用する語です.「病院内科」とか「病院耳鼻科」などとは言いませんので,それだけ歯科については,病院の中に歯科があるということが特殊なことで,区別して表記する必要があるということなのかもしれません.この病院歯科ですが,1993(平成5)年の1,528施設をピークに減少傾向にあります.この背景や原因などについては,『病院』2012年10月号の特集「病院における歯科」をぜひご覧になってください.
減少傾向にある病院歯科に代わって増えてきているのが「歯科訪問診療」です.歯科という診療科は特殊で,免許も違えば,レセプトも違う用紙を使用するし,同一医療機関であっても医科と歯科で医療機関コードが異なります.また,歯科の標榜がない病院に入院中の患者に対し,歯科診療所からの「歯科訪問診療」が可能となっています.これは,「対診」で対応しなくてはいけない眼科・耳鼻科・皮膚科などとは依頼したいシチュエーションが似ているにもかかわらず,取り扱いが大きく異なります.事務部門としては,レセプト請求や自己負担金などに全く手を煩わせる必要がないため,歯科訪問診療というシステムは,ある意味便利かもしれません.読者の皆さんの施設にも,契約している訪問歯科や,契約はしていないけれども必要な時に対応してくれる歯科が出入りしていると思います.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.