特集 内科診療にガイドラインを生かす
消化器疾患
消化性潰瘍
東 健
1
1神戸大学大学院医学研究科消化器内科学分野
pp.165-171
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107098
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内科診療に役立つ国内外のガイドライン
医療に対する患者の意識の高まり,情報の広まり,医療経済的問題などにより,医療の向上,標準化,経済性などが求められ,2003年4月に厚生労働省研究班により「胃潰瘍診療ガイドライン」が発表されるに至り,潰瘍診療の質的向上,効率化が図られてきた1).その後,2007年に,内容に追加変更を加え,第2版が発刊され2),さらに,2009年には日本消化器病学会により「消化性潰瘍診療ガイドライン」が作成された3).これらガイドラインはエビデンスを基にして作成され,Minds診療ガイドライン作成の手引きによるエビデンスレベル(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳa,Ⅳb,Ⅴ,Ⅵ)と推奨グレード(A,B,C1,C2,D)を用いている.「消化性潰瘍診療ガイドライン」では,主に治療についてクリニカルクエスチョンを設定し,それぞれに対してステートメントに推奨グレードとエビデンスレベルを明示し,エビデンスがわが国のものか,海外のものかを区別している.また,保険で診断・治療が可能かについても付記し,日常診療に使いやすいようにされている.
また,消化性潰瘍診療に大きくかかわってくるHelicobacter pylori(H. pylori)感染については,同じく2009年に日本ヘリコバクター学会が「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版」を作成している4).
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