特集 内科医のためのクリニカル・パール2
循環器
不整脈のクリニカル・パール
村川 裕二
1
1帝京大学医学部附属溝口病院内科
pp.1606-1609
発行日 2013年9月10日
Published Date 2013/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106987
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器質的心疾患があるときⅠ群薬は使いにくい:CAST試験が教えたこと
心筋梗塞後に心室期外収縮(PVC)や非持続性心室頻拍(nsVT)が多いと予後が悪いという観察に基づいて,CAST study1)が計画された.「陳旧性心筋梗塞のPVCやnsVTを薬物治療で減らすと予後が良くなる」という仮説の検証が目的であった.エンドポイントは心臓死あるいは心停止からの蘇生である.平均年齢61歳の1,498例を対象に,エンカイニド,フレカイニドのいずれかによってPVCが80%以上,nsVTが90%以上減少できた症例のみを選んで試験が行われている.
結果として不整脈死は実薬群43例,プラセボ群16例(p=0.0004)と,予想とは逆の結果が得られた.急性心筋梗塞やうっ血性心不全など不整脈以外の心臓死は実薬群17例,プラセボ群5例(p=0.01).実薬のほうで予後は悪く,試験は中止された.さまざまな視点から原因が論じられたが,「フレカイニドやエンカイニドと急性虚血との“相互作用”でイベントが増えたのかもしれない」という推測がある.
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