REVIEW & PREVIEW
過敏性腸症候群(IBS)の概念と治療の変遷
永田 博司
1
1けいゆう病院内科
pp.1642-1645
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106158
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過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)の病因にかかわる機序,分子を標的とした創薬がなされている.特筆すべきは,脳腸相関を介在する神経伝達物質セロトニンが腸管の恒常性を保つだけでなく,IBSの病態生理に重要な役割を果たすことが明らかになり(図1),その受容体を標的とする創薬がなされたことである1,2).
セロトニンの95%は腸管,なかでも腸クロム親和性細胞(enterochromaffin cell:EC cell)に存在しており,その特異的受容体であるセロトニン(5-HT)受容体は7つのサブタイプに分類されている(表1).ある作用について,受容体によっては互いに相反する反応を示す.5-HT3受容体は下痢型,5-HT4受容体は便秘型IBS治療薬の開発が進められ,わが国で5-HT3受容体拮抗薬,ラモセトロン(イリボー®)が開発された.
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