書評
―二木 隆 著―めまいの診かた・考えかた
田久保 秀樹
1
1荏原病院・神経内科
pp.1273
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106070
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めまいはプライマリケアの重要な症状の一つである.突然のめまいを発症した患者は嘔吐し,起立困難であれば車で連れてこられ,救急車を要請されることも少なくない.耳鼻咽喉科に限らず,かかりつけ医,内科,脳神経外科,神経内科に救急受診することが多く,患者は脳卒中などを心配して画像検査を希望することも少なからずある.また,慢性のめまい,ふらつきを主訴に受診する中高年の患者も多い.血液検査や画像検査をして異常がなければ対症療法で帰宅することになる.しかし,患者自身はめまいの原因がわからずに不安を抱えて生活している.自称メニエール病の何と多いことか.これらはめまいの診療では日常茶飯事である.
めまいはありふれた症状ではあるが,めまいで発症して小脳出血であった症例,軽いめまいの2日後に重篤な脳幹梗塞をきたした症例,ふらつきの原因が多発性脳梗塞・慢性硬膜下血腫であった症例,徐々に進行して脊髄小脳変性症であることが判明した症例など非特異的な症例も多々あり,小生は神経内科医であるが,めまいの診断は必ずしも容易ではないと常々考えている.本書ではその注意ポイントが平易に示されている.
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