書評
―井川 修 著―臨床心臓構造学―不整脈診療に役立つ心臓解剖
副島 京子
1,2
1川崎市立多摩病院・循環器科
2聖マリアンナ医大
pp.127
発行日 2012年1月10日
Published Date 2012/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105766
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規則正しく一日10万回も拍動し効率的に循環をつかさどる心臓は,勉強すればするほど奥の深い臓器です.その発生,解剖,不整脈の機序などを学ぶほどに興味と愛情が増し,自分が循環器医であることに喜びを感じます.井川修先生による『臨床心臓構造学』は,先生が長年培ってこられた心臓への愛情,不整脈への愛情,そして患者さんへの愛情の集大成だと思います.先生の持っている構造学,不整脈学への情熱がひしひしと伝わってきます.
今まで,ほとんどの不整脈を専門とする医師はAnderson/Becker, Netterなどの解剖学者による教科書を参考にしていたと思いますが,本の知識を臨床へ応用するのは個々の読者にゆだねられていました.つまり,内容を理解して応用できるかは読者の力量次第だったと思います.この本では井川先生が基礎と臨床の懸け橋となり,臨床医にも非常にわかりやすく,即時に臨床応用できるような解説がされています.不整脈のカテーテル治療を専門とうたう医師は世界中に多いのですが,井川先生ほど,心臓の解剖から機序,治療のためのテクニックを知り尽くしたうえで,わかりやすく解説できる医師はいないでしょう.
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