特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
感染関連検査〈微生物の抗原・抗体検査〉
つつが虫病抗体
岡山 昭彦
1
,
橘 宣祥
2
1宮崎大学医学部内科学講座免疫感染病態学分野
2慈光会宮崎若草病院
pp.422-423
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104861
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
つつが虫病は発熱,発疹,刺し口を3主徴とする感染症であり,4類感染症のなかで2番目に頻度が高く,本邦では北海道を除くすべての地域に発生がみられる.山歩きなどの機会に病原体であるOrientia tsutsugamushiを保有するダニ(ツツガムシの幼虫)に刺されることにより感染する.感染より7~14日の潜伏期の後に急激な発熱で発症し,頭痛,悪寒,全身倦怠感,筋肉や関節の痛みを伴う.発疹は2~5病日に顔面,体幹から出現する.刺し口は径約10 mmの黒色痂皮で覆われた潰瘍で,周囲に発赤,腫脹を認める.リンパ節腫脹,肝脾腫を伴うことがある.テトラサイクリン系抗菌薬が著効するが,重症例ではDIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固異常)やショックを合併し,死に至ることもある.
病原診断として血清抗体価の測定,病原体分離,PCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法による遺伝子診断があるが,後2者は一般の検査機関では行われておらず,免疫血清学的診断が通常行われる.
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