特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
細菌検査
検体別同定検査各論
肺炎球菌尿中抗原
舘田 一博
1
,
山口 惠三
1
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座
pp.576-577
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104850
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
感染症患者の尿中に病原体抗原が排出されるという事実は,1980年代より知られており,Coonrodらによる1983年の論文では肺炎球菌,レジオネラ,インフルエンザ桿菌,髄膜炎菌などいくつかの病原体による感染症で尿中に菌抗原が排出されるという事実が報告1)されている.患者検体からの病原体特異抗原の検出は感染症診断において重要であり,特に呼吸器感染症患者における尿中抗原検出の意義は大きい.その理由は,呼吸器検体ではしばしば口腔内常在菌の混入が問題となるのに対し,尿中抗原ではその可能性を否定できることにある.また,尿中への病原体抗原の排出は血中抗原の濃縮を意味するものであり,診断的意義は高い.
肺炎球菌尿中抗原検査は,本菌の産生する莢膜抗原を検出するキットである.肺炎球菌には90種類以上の莢膜型が存在することが知られているが,本検査では臨床上重要な23種類の莢膜抗原を検出することができる.
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