増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
5.感染症検査
9 尿中肺炎球菌莢膜抗原
二木 芳人
1
1倉敷第一病院呼吸器センター
pp.1266-1267
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101107
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はじめに
肺炎球菌は呼吸器感染症や小児の髄膜炎あるいは中耳炎などで重要な感染病原菌である.特に呼吸器感染症では高齢者の肺炎起炎菌として最も頻度も高く,また,初期治療の失敗は時に患者の予後を不良なものにする可能性が低くはない.加えて最近では本菌の多剤耐性化が進んでおり,治療薬の選択にも慎重さが要求されている.無論,初診時に起炎菌を明確にできれば,より正しい抗菌薬の選択が可能であり,呼吸器感染症ではその起炎菌を決定するために,喀痰のグラム染色(Gram stain)が推奨される.しかし,現実にはその実施率は低く,また,喀痰が得られなかったりする例もしばしばある.したがって臨床の場では,起炎菌不明のままでいわゆるエンピリックセラピーを開始せざるを得ないこととなるが,より強力で,時には併用療法なども考慮することの多いエンピリック・セラピーは,さまざまな問題を含んだ治療法と考えられる.
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