増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
腫瘍マーカー
消化器系
CA 50
川 茂幸
1
,
床尾 万寿雄
1
,
小口 寿夫
2
1信州大学医学部第2内科
2信州大学医学部人工腎臓部
pp.458-459
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909898
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検査の目的・意義
CA 50は,Lindholm1)により開発されたC50モノクローナル抗体によって認識される糖鎖抗原で,Nilsson2)によりsialyl Lewisaとsialyl Lewiscと同定された.sialyl Lewisaはよく知られているCA 19-9である.sialyl Lewiscはsialyl Lewisaの前駆体であり,フコースが結合することによりsialyl Lewisaに転換される(図1).また,このフコース転換酵素は,Lewis式血液型が陰性の症例では,欠落もしくは活性が非常に低いためCA19-9を合成できず,sialyl Lewiscが血中に蓄積することになる.したがって,CA50はLewis陰性の悪性疾患でも診断的有用性が認められるマーカーと認識されてきた.しかし,C50抗体はsialylLewisaに対する反応性がはるかに強く2),したがってCA 50は大部分がsialyl Lewisaであり,一部にsialyl Lewiscを含むとするのが正しい.
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