特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
抗サイログロブリン抗体
日高 洋
1
1大阪大学大学院医学系研究科内科学講座(臨床検査診断学)
pp.329-331
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104782
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
サイログロブリン(thyroglobulin:Tg)は甲状腺濾胞細胞内で合成後,甲状腺濾胞コロイド中に分泌されて甲状腺ホルモン合成の場となっており,甲状腺内にある臓器特異蛋白の1つである.Tgでマウスを免疫すると抗サイログロブリン抗体(TgAb)が産生されると同時に甲状腺炎も惹起されることより,Tgは自己免疫性甲状腺炎の原因抗原の1つと考えられている.ヒトで甲状腺組織を調べても,TgAb陽性であれば甲状腺炎が認められる1).したがって,ヒトでの自己免疫性甲状腺疾患である慢性甲状腺炎(橋本病),Basedow病の多くでTgAbが陽性となる.ただし,TgAb陽性の妊婦において,胎盤を通過した母体の抗体が胎児の甲状腺に障害を及ぼさないことより,TgAb自体には病因的意義はほとんどないものと考えられている.
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