特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
血液ガス・電解質・微量金属
血清銅
前田 崇
1
,
友安 茂
1
1昭和大学医学部内科学講座血液内科学部門
pp.270-272
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104764
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
正常成人は体内に70~100mgの銅を有しており,その多くは肝臓,脳,骨髄に分布している.銅は食物を介して生体に取り込まれ,胃,上部小腸粘膜から1日に0.6~1.8mg吸収される.吸収された銅は銅輸送蛋白であるATP-7Aによって漿膜側に運搬され血管に入り,アルブミン(Alb),トランスキュプレイン(transcuprein)と結合して各臓器に運搬されるが,主体は肝臓である.肝臓に運ばれたAlb結合銅は肝臓内の銅運搬蛋白であるATP-7Bによって胆汁中に排泄されるか,またはアポセルロプラスミン(apo-ceruloplasmin)に取り込まれ,セルロプラスミン(ceruloplasmin)となり,血中に放出される(図1)1).セルロプラスミンに結合した銅はcytochrome oxidase, superoxide dismutaseなどに取り込まれると報告されている.この代謝経路に異常がみられると血清銅値も変化する.長期の経口摂取障害,腸の吸収障害,大便および尿への排泄増加が認められると血清銅は低下し,ホルモンによるセルロプラスミン合成亢進,胆道疾患による銅排泄障害では血清銅は上昇する.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.