特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
糖質および関連物質
抗GAD抗体
松井 久未子
1
,
谷澤 幸生
1
1山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学
pp.230-231
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104751
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
1型糖尿病は,膵臓のβ細胞が破壊され,インスリン産生能が低下・枯渇することにより発症する疾患である.その原因は自己免疫的機序により発症するタイプ(1A型)と特発性(1B型)の2つに分類されている.1A型では,患者血清中には膵島細胞に対する各種自己抗体が検出され,診断の重要な指標となっている.
グルタミン酸脱炭酸酵素(glutamic acid decarboxylase:GAD)は,グルタミン酸から神経伝達物質のγアミノ酪酸(γ-aminobutyric acid:GABA)を生成する反応を触媒する酵素で,GAD65とGAD67のアイソフォームが存在する.膵β細胞には主にGAD65が存在し,GAD67は主に中枢神経系に発現する.GAD65に対する自己抗体(抗GAD抗体)が自己免疫機序による膵β細胞破壊に深く関係していることが示されており,1型糖尿病の診断・予知マーカーとして使用されている.また,抗GAD抗体は,各種自己免疫疾患でも陽性になることがあり,特に自己免疫性甲状腺疾患の頻度が高い.
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