特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
一般検査
髄液そのほかの穿刺液
胸水・腹水検査
三宅 一徳
1
1順天堂大学医学部臨床検査医学
pp.35-36
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104684
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
腹水・胸水は,その成因から漏出液(trans-date)と滲出液(exudate)に大別される.漏出液は血漿膠質浸透圧の低下や静脈圧の亢進,血管壁透過性の亢進など非炎症性の成因によって貯留する.一方,滲出液は漿膜腔の感染症や悪性腫瘍の浸潤など局所の炎症に起因する.
基礎疾患によることが明らかな場合を除き,胸水・腹水の貯留原因の確定は困難な場合も多く,漏出液と滲出液の鑑別,さらに臨床的に重要度が高い滲出性胸水・腹水では,その成因の鑑別のために穿刺が必要となる.検査項目としては細胞数算定および分画,pH,総蛋白,アルブミン,グルコース,乳酸脱水素酵素[LD(LDH)]活性,グラム染色,細菌培養などが標準的な検査であり,肉眼所見と疑われる病態により,生化学,微生物,遺伝子の各検査と細胞診を選択して追加する.なお,古典的なRivalta反応は滲出液に対する感度が50%程度であり,実施意義はない.
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