書評
―多賀須幸男,櫻井 幸弘 著―上部消化管内視鏡スタンダードテキスト
深井 学
1,2
1医療法人財団放友クリニック
2一般社団法人日本消化器内視鏡技師会
pp.1746
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104675
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
消化器内視鏡検査・治療の進歩は,機器の開発や手技の高度化により著しいものがある.それに伴い,検査・治療の質が向上し,成果も飛躍的に現れている.これは内視鏡医の優れた技術と研鑽,そしてメーカーの開発努力によるところが大きいと思うが,質の向上では内視鏡のスタッフとしての内視鏡技師の役割も少なからずあると思われる.内視鏡スタッフの教育では医療現場における内視鏡専門医の熱心な指導が形に現れ,消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡技師資格の取得者も増えている.
内視鏡スタッフの教育,指導に欠かせないのが教科書となるテキストである.ちなみに筆者が消化器内視鏡にかかわったのは昭和40年代の胃カメラの時代で,スタッフの教育・指導方法がまだ確立していなかった頃であった.そのため,多くの症例写真を見てそれをスケッチすることや解剖学,生理学の書物を読むこととその当時指導していただいた先生方から言われたことが,本書を読み進めるうちに思い出された.本書には正常写真とともに多くの症例が掲載され,さらに挿入過程や観察順序および,疾患,臓器などを図式化して説明が加えられており,間近で講義を受けているような錯覚に陥った.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.