今月の主題 Helicobacter pylori―関連疾患と除菌療法のインパクト
H. pylori関連疾患における除菌治療のエビデンス
早期癌に対する内視鏡的治療後胃
加藤 元嗣
1
,
小野 尚子
1
,
浅香 正博
2
1北海道大学光学医療診療部
2北海道大学第三内科(消化器内科)
pp.1754-1757
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104648
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ポイント
★胃癌は組織型を問わずH. pylori感染に伴う慢性胃炎を背景として発症する.
★早期胃癌治療において,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の開発や普及によって,内視鏡治療の適応拡大がなされてきた.
★内視鏡的治療後の遺残再発は不十分な内視鏡的治療が原因で起こり,ほとんどが術後2年以内に出現する.一方,内視鏡的治療後の異時性多発癌は稀ではなく,術後長期にわたって発症する.
★H. pylori除菌が内視鏡治療後の異時性多発癌の発生を有意に抑制することが,わが国における多施設共同の無作為化試験で証明された.
★2010年6月,早期胃癌に対する内視鏡治療後胃が保険適用となり,異時性多発癌の予防目的に積極的なH. pylori除菌が望まれる.
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