シリーズ 早期癌を見直す・2 早期大腸癌・6
早期大腸癌の内視鏡的治療
田島 強
1
,
加藤 裕昭
2
Tsuyoshi TAJIMA
1
1東京都立大久保病院内科
2東京都立駒込病院内視鏡科
pp.483-487
発行日 1996年4月20日
Published Date 1996/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902268
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1 はじめに
筆者1)が最初に高周波電流を用いた大腸ポリープの内視鏡的切除を試みた1971年頃は,本邦では大腸ポリープや大腸癌はさほど多い疾患ではなかった.しかしながら,その後の本邦における大腸癌の増加は,驚異的と言っていい程著しい.また,便潜血反応を用いた大腸癌集団検診の普及により,内視鏡的治療が可能な早期の小さな病変が多数診断されるようになってきている2).ちなみに,最近の都立駒込病院における大腸癌の内視鏡的治療例数は,外科的手術例数の約1.5倍,年間約300例にも達しており,大腸早期癌の治療に果たす内視鏡の役割は非常に大きくなっている.
大腸癌の内視鏡的治療法は,高周波電流を用いた腫瘍の摘除とレーザーやヒータープローブなどを用いた腫瘍の焼灼ないし挫滅の二つの方法に大別されるが,主として行われているのが前者であり,後者は少数の特殊な症例にのみ行われているに過ぎない.また,最近になって腹腔鏡を用いた大腸癌の内視鏡的治療も行われるようになり,本シリーズの別項にも記述されている.
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