特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
骨軟部
各論
膝関節の解剖
稲岡 努
1
1旭川医科大学放射線医学講座
pp.410-414
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104209
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正常解剖
膝関節は人体最大の加重関節であり,最大の長管骨である大腿骨と次に大きい脛骨によって構成される.また,前方には最大の種子骨である膝蓋骨が関節包内に存在し,大腿骨と膝蓋大腿関節を形成している.脛骨の外側部には腓骨が位置するが,関節包内には存在しない.大腿骨遠位端と脛骨近位端の関節面には硝子軟骨からなる厚い関節軟骨が広がっている.膝蓋大腿関節は外側部に広いV字状を呈し,関節面には同様に厚い関節軟骨が広がっている.
膝関節内および周囲には多くの軟部支持組織が存在する.内側側副靱帯,外側側副靱帯を含む外側支持組織,前・後十字靱帯,半月板が臨床的に重要である.内側側副靱帯は,膝関節の内側部を縦走する靱帯であり,浅層と深層とに分けられる.浅層は大腿骨内顆から起こり,脛骨骨幹端の内側部に付着する.深層は浅層の直下に存在している.深層は内側半月板辺縁と強固に付着し,半月板と大腿骨,半月板と脛骨とを結ぶため,それぞれmeniscofemoral ligament,meniscotibial ligament とも呼ばれる(図1).また,膝関節内側部の表層には縫工筋,薄筋,半腱様筋腱,半膜様筋腱が下降し,脛骨上端の内側部に付着している(図2).膝関節外側部には,外側側副靱帯を含めた外側支持組織が存在し,内側部と比べて複雑な構造になっている.外側側副靱帯は,大腿骨外顆から腓骨頭へと広がり,下端は関節包から離れている.その表層では前方に腸脛靱帯,後方には大腿二頭筋腱が下降し,脛骨外側部および腓骨頭に付着している(図3).
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