特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
骨軟部
各論
股関節
中西 克之
1
1大阪府立成人病センター放射線診断科
pp.402-409
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104208
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股関節は,球形の大腿骨頭とそれを包み込む臼蓋で強固に結合する最大の関節である.寛骨臼と臼蓋唇により骨頭の2/3が包み込まれ,ball and socket constitutionとも呼ばれる.関節可動域は肩関節に比べて制限されるが,関節の安定性と体重の支持において重要な役割を果たしている.近年,高精細なMRIやCTで詳細な画像が得られるようになり,画像診断を施行するにあたり,関節の特性と正確な解剖知識を得ておく必要がある.図1に高精細MR像とシェーマの対比を示す.
上述したように大腿骨頭の2/3が臼蓋唇により包み込まれるため,関節裂隙は狭く,大腿骨頭側の関節軟骨と臼蓋側の関節軟骨が分離してみえないこともしばしばある.本例では股関節を牽引して関節裂隙を広げ,両側関節軟骨を分離して描出していることに留意されたい.MRIで脂肪抑制画像を用いると関節軟骨が高信号に描出され表面を追跡しやすくなる.臼蓋と大腿骨頭を結合させる役割で大腿骨頭靱帯がある.臼蓋側ではその靱帯の周囲に月状窩と呼ばれる脂肪が存在し,関節軟骨は存在しない.臼蓋の辺縁部分に関節唇が存在する.関節唇は膝関節における半月板と同様,線維軟骨であり,低信号に描出され,楔状の構造を呈する.
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