特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
脳
各論
脳幹・小脳
木下 俊文
1
,
木下 富美子
1
1秋田県立脳血管研究センター放射線科
pp.58-64
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104164
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正常解剖1,2)(図1)
脳幹は,延髄,橋および中脳の3つの部分に分かれる.脳幹の頭側には間脳(視床)があり,尾側では脊髄につながる.橋および中脳の背側部は発生学的に古く,被蓋部と呼ばれ,脳神経核を含んでいる.小脳は脳幹の背側に位置し,正中の虫部と一対の半球よりなる.小脳は中脳・橋・延髄とおのおの上・中・下小脳脚でつながっている.小脳と橋の間には第四脳室が存在し,中脳水道を介して第三脳室と交通する.第四脳室からは両外側にあるLuschka孔と正中下部にあるMagendie孔によりくも膜下腔につながる.脳幹,小脳周囲には小脳延髄槽,小脳橋角槽などの脳槽があり,このうち小脳橋角槽は小脳と脳幹部で形成されるくも膜下腔で,橋と延髄の接合部より出る顔面神経や内耳神経が走行する.
脳幹部では,さまざまな神経線維が神経核を介しながら,縦走・横走する.運動系の伝導路として最も重要なものに皮質脊髄路が挙げられる.皮質脊髄路は線維が延髄錐体を走行することから錐体路とも呼ばれる.中脳では大脳脚を,橋では橋底部を,延髄では錐体を下行する.その他の橋の縦走線維としては,皮質核路(別名,皮質延髄路)と皮質橋路がある.皮質核路は大脳皮質から迷走神経核や舌下神経核といった主に延髄の脳神経運動核に至る経路である.また,皮質橋路は大脳皮質から橋に下行する縦走線維で,橋核で橋小脳路に中継される.橋小脳路は中小脳脚を通って対側の小脳皮質に至る.
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