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■尿蛋白あるいは尿潜血陽性をみたら,必ず尿蛋白定量(g/dl)/尿クレアチニン(Cr)定量(mg/dl)比(尿蛋白Cr補正),尿沈渣で蛋白尿・血尿の有無,程度を確認せよ
初診時にすでに進行した腎不全症例で病歴をよく確認すると,以前に検尿異常を指摘されていたが放置していた例は残念ながらいまだに稀ではない.日本ほど全世代を通じた検尿システム(学校健診,職場健診,保険加入時,妊娠時など)を有している国はなく,また,腎疾患,特に糸球体疾患の多くは無症候性蛋白尿・血尿(chance proteinuria and/or hematuria:CPH)で発見されている.2007年に日本腎臓学会がCKD(慢性腎臓病:chronic kidney disease)キャンペーンを打ち出したが,これはCKDを可能な限り早期にとらえることが,1つの大きな目標でもある.したがって,テステープ(試験紙法)での尿蛋白あるいは尿潜血陽性をみたら,最低限再検し腎疾患が潜んでいる可能性があるか確認することがきわめて重要である.
試験紙法による尿蛋白検査は,濃縮あるいは希釈尿にかなり影響されるため,正確に蓄尿された24時間尿による尿蛋白排泄量で確認することが望ましいが,外来では煩雑である.随時尿での尿蛋白Cr補正(g/gCr)は,24時間尿蛋白排泄量(g/日)とよく相関することが知られており,これにより簡便に評価できる.これが0.15g/gCr以上は蛋白尿陽性と考えられる.また,尿潜血陽性は尿沈渣で確認するが,顕微鏡的血尿は赤血球5個/HPF(400倍強拡大1視野)以上と定義されている.この際,変形赤血球が多い場合は腎実質(糸球体~尿細管)由来の可能性が高く(糸球体性血尿),均一な形態の赤血球は腎盂以下の尿路出血の可能性が高い(非糸球体性血尿).さらに赤血球円柱を伴う場合は糸球体性,凝血塊を伴う場合は非糸球体性を示唆する.
0.5g/gCr以上の持続性蛋白尿や,それ以下の蛋白尿でも糸球体性血尿を伴う場合は,腎臓専門医に相談すべきである.
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