書評
神経救急・集中治療ハンドブック―Critical Care Neurology
金澤 一郎
1
1国立精神・神経センター
pp.405
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103286
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監修:篠原 幸人 編集:永山 正雄,濱田 潤一
A5 頁496 2006年 定価5,775円(本体5,500円+税5%) [ISBN978-4-260-00132-8] 医学書院刊
われわれが医師になったのはちょうどインターン闘争から大学紛争に拡大していく時期であった.そこで「患者のためになる良い医療を」という旗印の下で,青年医師連合を結成した.医師とは関係のないところで政治的に活動していた仲間もいたが,われわれノンポリは医師国家試験をボイコットした非合法的なインターンとして医療の世界に飛び込んでいった.すでに医師として社会で働いていた先輩たちの技術や知恵を授けてもらいながら医療に邁進した.実に充実していた.中でも,いわゆる救急には心をときめかした.自分こそがこの患者を救うのだ! という心意気に燃えていた.ただ心意気だけでは救えないので,いざというときはすぐに先輩に聞けるように「連絡網」を作成していた.救急医療は,医師になりたての身には格別の魅力があった.さしもの大学紛争も少し落ち着いた頃,大学に戻り,患者の受け持ちになってみると,病室で急変した患者に対応する先輩たちの動作の鈍いのにあきれた.しかし,今思えばその頃がわれわれの一般医療の腕前としてはピークだったように思う.頭で反応するよりも体が反応していたような気がする.
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