今月の主題 循環器薬の使い方 2009
扉
磯部 光章
1
1東京医科歯科大学大学院循環制御内科学
pp.7
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103723
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循環器疾患の診療の進歩は急速である.最近は冠動脈治療でのステントや不整脈治療におけるペースメーカーや除細動機などのデバイス治療が普及してきた.不整脈に対するアブレーション治療も増加の一途である.心不全に対しても再同期療法や人工心臓の普及など10年前には予想もしなかった展開があり,治療の選択肢が拡がっている.しかし,そのなかにあっても,心血管疾患の治療の基本が薬物療法であることに今も昔も変わりはない.いかに症例が増えているとは言っても,侵襲的な治療やデバイス治療を受ける患者は一部であり,またどのような先端医療を受ける場合も内科的薬物療法がその前提となり,併用で治療が進められるのが常である.
心不全,高血圧,動脈硬化,不整脈などの慢性疾患は,生活習慣とともに加齢に伴って進展していくものであり,自然治癒や根治ということが期待し難い疾患であることから,薬物治療は長期間に及ぶ.高齢化に伴って患者数は増加の一途であり,そのため薬物療法に関わる医療費も群を抜いて多く,日本の総医療費の約四分の一が循環器疾患に費やされているとされる.
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