連載 研修医のためのリスクマネジメント鉄則集・2
医師とリスクマネジメント(後編)
田中 まゆみ
1
1聖路加国際病院・一般内科
pp.376-379
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103243
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医事紛争に端的に現れているが,現在,患者が医療に「100%治癒」を期待し,悪い結果に終わると「裏切られた」と感じるのは,医療側・患者側・マスコミの三者にそれぞれ責任があるといわねばならない.医療側はしばしば医療の現実を等身大に伝えず誇大宣伝をし,マスコミは無批判に記事を書き,患者は医療の不確実性を受容しようとしない.医療側は最新治療(実効のあるものもないものも含めて)の開発に夢中で,常に未知の危険と背中合わせであることを過小評価し,いいことづくめのようにマスコミに取材させる.マスコミも,常に批判的に報道するという使命を忘れ,患者受けのする明るい面しか書き立てないのはあたかも大本営発表のようである.患者は,生・老・病・死の不条理を受容できず,藁にもすがる思いから,このような宣伝にまんまと乗せられやすい.
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