書評
《総合診療ブックス》今日からできる思春期診療
竹村 洋典
1
1三重大附属病院・総合診療部
pp.2307
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103156
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小児の医療は成人の医療の小型版ではないこと,また高齢者の医療は成人の医療と異なっていることは,日本においてもかなり認識されている.では思春期の患者のケアはいかがなものか.小児科医からは大人,内科医を含む成人対象の医師からは小児とみなされていることも少なからずあるようではないか.特に,思春期の少年少女の疾病が,身体的のみならず,精神的な影響や家族や学校などの社会的な影響があったり,生育歴が大きくかかわったりして,診断や治療に苦慮する場合,この年代の患者のケアを苦手とする臨床医は少なくないかもしれない.また思春期の少年少女の扱いが困難で,それゆえに患者-医師関係が形成しにくい場合などは,さらに苦手意識が強くなる.このような苦手意識のある臨床医にとって,この本は,まさしく必読の書といえる.この本を読めば,きっと思春期の患者のケアがおもしろく感じられるであろう.
最初の総論部分では,思春期患者の診察の特徴や方法をわかりやすく説明している.特に日本ではあまり触れられない家族志向のケアにも言及していることはすばらしい.総論ではあるが,理屈ばかりの難解さはなく,さすが臨床にどっぷりとつかっている著者らならではの内容である.内容がすっと身体に入り込んでくる.
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