今月の主題 臓器感染症と抗生物質の選択
尿路感染症
女性の尿路感染症
上間 健造
1
1徳島大学医学部・泌尿器科
pp.1760-1762
発行日 1991年10月10日
Published Date 1991/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901096
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ポイント
1)自排尿での尿沈渣所見や培養検査が症状や治療経過と一致しない患者では,カテーテル尿での再検査が必要である.
2)急性単純性尿路感染症(腎盂腎炎,膀胱炎)は性的活動期に多く,起炎菌は圧倒的にE.coliの単独感染である.慢性複雑性尿路感染症は中高年者に多く,起炎菌は多種多様で複数菌感染による難治性症例も多い.
3)急性単純性膀胱炎は,経口剤(βラクタマーゼ阻害剤を含むペニシリン系薬剤,新経口セフェム剤,ニューキノロン剤など)による外来治療を5日間前後行う.
4)経口摂取可能で比較的全身状態の良好な急性単純性腎盂腎炎は,ニューキノロン剤などによる外来治療を14日間程度行う.
5)無症状の慢性複雑性尿路感染症は,ニューキノロン剤などによる外来治療を7〜14日間行う.
6)経口摂取不十分な急性単純性腎盂腎炎や慢性複雑性腎盂腎炎の急性増悪例では,十分な補液と点滴静注剤による5〜7日間の入院治療を行い,解熱後にニューキノロン剤などによる7〜10日間の外来治療を行う.
7)点滴静注剤では,PIPC(piperacillin)や第3世代セフェム剤が選択されることが多い.
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